「…本当に驚いたんやで。でも、もしかしたらウチ、あかん事きいてしもうたんやろか?」
そう言って、麗華は申し訳なさそうな表情を浮かべながらそっと、優しくケイの頭をなでた。


それからしばらくの間、ケイの容体を見守っていた麗華だったが、それ以上ケイの身に何も起こらない事を確認すると、ケイを優しく起こしてあげ、二人分の会計を済ますと、ケイと共にその喫茶店を後にした。
喫茶店の外へ出る頃には、ケイはすっかり具合も良くなり、改めて麗華に、不埒な連中から自分を救ってくれた事、先程の介抱に至って、感謝の言葉が出て来る余裕さえ見せた。それに対して、麗華は少し照れながら、どうってことないよ、と言葉をケイにかけた。
「この街は、変な連中が多いから、気をつけや。…えっ?お茶代?ええんや、ええんや。気にせんでええから。それより…」
別れ際に、麗華は右目でウィンクをしながら言った。