「お前には関係ねーだろが!不意打ちで勝ったぐらいでいい気になってんじゃねえぞ、このアマ!」
二人の内、ひょろっとした長身の男が、身をかがめ、ボクシングのフックにも似たパンチを繰り出して来た。
だが、そのパンチは麗華のわずかあご先2mmほどまでしか届かず、代わりに、男が身をかがめていたせいで、同時に麗華のアッパーカットがカウンターで決まった。この男も、先ほどの男と同じく、だらしなく地面に伏した。
「…まともにやっても、なかなかイケるやろ?ところで、あんたもウチとやりあってみる?」
麗華はそう言って、最後に残された男に向けて、クスッと笑って見せた。
「ひっ、ひいっ!」
その男はそう叫ぶと、伸びてしまった二人をそのままに回れ右をすると、一度も振り返る事なく大急ぎで逃げ出した。
「情けないやっちゃなあ。仲間、忘れていきよった。まあ、ええわ。…それより君、怪我なかった?」