なんなの?この気持ちは。



知らない。

あたしの知らない感情が今、あたしの中にある。





「…好き、とか。そんな言葉、軽々しく使っちゃダメ」



必死に取り繕って冷静さを保っている。





「伊咲さん。俺ね、まじだからね?」



桐生くんは真剣な顔で一言。





そう言ってくたびれたスクバを適当にしょって店から出て行った。






「なんで――…」



なんであんなこと言うの?



好き。も、まじ。も、
軽々しく使っちゃダメなのに。



あたし 勘違いしちゃうからさ。