「さて、何から聞けばいいんだ?」

輪になるように腰を下ろすと、永倉が話し出した。

「まず、その変わった着物・・・。どうしてそのような格好をしているんですか?」
「確かに、見たことのねぇ着物だ。」

永倉と優希に問われ、奥村はいきなり言葉を詰まらせた。


「あの、服のことを説明するとなると、俺の方からいくつか聞きたいことがあるんですが・・・」
「いいですよ。」

優希に促され、奥村は一度深呼吸をし、意を決して質問した。

「今は、何年ですか?」
「・・・へ?」

あまりにも予想外の問いに、優希は間抜けな声を漏らしてしまった。
変わりに、冷静に永倉が答えた。

「今は、元治元年だ。ちなみに三月の頭だ。」
「元治元年・・・」

自分の考えは、最悪な形で的中してしまったらしい。
後は、自分も信じることの出来ない話を、どうやって二人に説明をするかである。