零番隊が鈴木の見張りに付いてから三日が経った。
嵐の前の静けさの様な、異様な平穏が零番隊隊士達に流れていた。
部下三人を犯人とする鈴木につけた優希は、ほぼ一日中、街に出て歩き回っていた。
今もまた、今までの犯行現場を巡るように巡回をしている最中だ。
隣には、土方に優希に付くように命じられた永倉が付き添っていた。
「何の動きもねぇな。」
「そうだね。朝、烝達の所に顔出してきたけど、だいぶ疲れてた。もう3日目だからね。」
山崎の朝の報告によれば、鈴木には何ら変わった動きは見えないという。
優希も、ずっと胸の奥にもやもやする感覚を捨てきれないでいた。
「何か・・・何かまだ気がついていない気がするの。」
もう何度考えたか分からない気がかりを、優希はまた頭の中で巡らしていた。
その時だった。
優希はかすかな気配に足を止めた。
「・・・永倉さん。」
「あぁ、分かってる。」
永倉も気がついているのだろう。優希の言葉に頷いた。
二人で、刀の柄に手をかけたときだった。
優希たちの周りを取り囲むように、5人の浪人風の男達が現れた。
「・・・何者ですか。」
「ちょっと頼まれごとでな。お前さんたちを殺しさえすればいい、儲け話に乗っただけだよ。」
不敵な笑みを顔に貼り付けて、間合いを少しづつ詰めてくる。
優希と永倉は背中合わせに、相手に向き合った。
「どうやら、動き出したみてぇだな。」
永倉の言葉を合図に、優希達の前に一斉に刀が抜かれた。