零番隊が特殊な隊と言われるのには、この特任務が下されることが関係している。
新選組の名をもらったとき、上から出された指示の一つだった。
極秘任務をこなせる隊を作ること。
土方や近藤が、その隊の隊長に選んだのが優希だった。
特任務と呼ばれる新選組の他の隊長にも明かされない極秘任務は、主に暗殺である。
それも、普段相手にしている長州の浪士などではない。
相手は、幕府の人間だ。
幕府内部で、反発の兆しがあるものを、問題を起こす前に始末するのだ。
正直、土方や近藤がこの隊を優希に任せることは苦渋の選択だった。
しかし、当時の優希の置かれた立場から考えると、この特殊かつ、最強の隊士を集めることになる零の隊長を任せる事しか、他に道は残されていなかった。
そんな特任務が今回も下されたのだ。
しかし、今回は少し勝手が違った。
「しかし、子供ばかりを襲うとは、許せんな。」
近藤の言葉に優希も頷いた。
今回の特任務は、反発からの暗殺ではなかった。
最近、ここ近辺で頻発している子供の惨殺事件の犯人が、どうやら会津藩の藩兵らしいということだった。
上からすれば、巷で騒ぎになっている事件の犯人が、自分達の身内だと知れてはまずい。
内密に処理するために、今回優希に任されたのだ。