この少女の存在が、途絶えることなく密かに語り継がれる訳が、ある一枚の紙切れにある。


新撰組の生き残りであり、一番の剣客であったとされる永倉新八。
彼の記した書物の間に、たった一文だけが記された一枚の紙が挟まっていた。
それはまるで、愛しい人に捧げた、恋文のような言葉であった。



その美しき誠の華を、
こうして後世に
伝えることすらせず、
我が心にのみ抱いて
眠ることでしか、
この行き場のない愛を
満足できぬ俺を、
きっとお前は、
陽だまりのような
微笑で笑うのだろうな。







『誠に生きた少女』