「うわっ!」

奥村が驚いて体を揺らすと、降りてきた人物と目が合った。

「や、山崎さん・・・。」
「烝、驚かせちゃだめって、いつも言ってるのに。」
「・・・すまん、これでも気ぃつけとるんや。」

山崎は奥村に一言謝ると、優希の前に膝を着いた。

「隊長、ただ今戻りました。」
「お疲れ、どうだった?」
「とりあえず、局長達に報告してきます。また、後で隊長のところには伺います。」

そういって立ち去ろうとした山崎を、優希が呼び止めた。

「烝、怪我はしてないね?」
「・・・しとらん。お前も、いつまでも自分の隊士の心配するのやめぇ。
 そんなんじゃ、零の隊長は務まらへんぞ。」

優希の質問に、無表情のまま答えると、山崎は姿を消した。

「・・・怒らせちゃったかな?」

山崎の言葉に、優希は首をかしげた。
が、すぐにそんなことはないなと呟くと立ち上がった。

「あの、山崎さんって、俺達と歳、同じくらいですか?」
「うん。烝のほうが2つくらい上だけど。
 だから、仕事が抜ければさっきみたいに、普通に話してくれるんだよね。
 ただ、仕事中は周りの事気にして堅苦しいんだけど・・・」

そういって寂しそうに笑った優希の顔が、昨日同じ事を話す藤堂の笑顔と重なった。