時は幕末。
己の誠を背負い、混乱の世を生き抜く少女がいた。
彼女の存在は、歴史の渦にかき消され、実しやかな噂話となって後の世に語り継がれていた。



信じるもよし、信じなくともよし。
決めるのは、この物語を読んでからでも遅くはないのだ。
今ここに語ろうではないか。




刀を抜き、前を見据えるその姿は美しく、敵であっても見惚れたという。
返り血を浴びた姿でさえ、心惹きつける美しさがあったという。
少女の笑顔には、泣きたくなるような儚さがあったという。
そんな少女を、皆どんな形であれ、愛したのだという。