「まともに話すの初めてだよね。俺、藤堂平助。副長助謹で八番隊の隊長してんの。」
藤堂が簡単に自己紹介すると、途中の縁側に腰を下ろしたので、奥村もそれにならう。
「ここを奥に行くと台所なんだけど、今は朝飯時で戦場だろうから少しここで時間つぶそうよ。」
「藤堂さんは、時間あるの?」
「平助でいいって。俺は今日非番だから。」
それならばと、藤堂の言葉に甘えて時間をつぶすことにした。
「疑いがあるから賄方なんだろうけど、雅貴は刀、持ったことあるでしょ?」
「あー、ないよ。俺の住んでる時代は刀なんて、普通に生きてたら出会うこともない。」
「・・・うそでしょ。」
奥村の言葉に、藤堂は驚きを隠せないようでいた。
「ほんとだよ。持つことすら許されてない。」
「へぇ、平和なんだな。」
「平和・・・、まぁこの時代の人からみたら平和なのかもな。」
未来だって、平和とはいえない。形は変わっても、殺人だって起こるのだから。
「じゃあ、賄方でよかったのかもな。隊士になったら刀を持つしかなくなるし。」
「そういえば、夜風さんが刀を差してたとき、驚いたよ。最初会った時は袴でもなくて普通に女物の着物着てたから。」
「あー、優希昨日昼まで非番だったから。」
「この時代でも、女の人が刀を持つことは珍しいんだろ?」
奥村の問いに、藤堂は苦笑いした。
「そりゃあね。優希は特別だよ。ま、優希は色々苦労してるから。」