「うわぁ、危なかった。」
「あの・・・」
藤堂に連れられて部屋を出てきてしまった奥村だが、状況がわからない。
「あ、ごめんごめん。新八さん、優希のことになると怖いんだよね。」
「はぁ。」
とりあえず相槌を打ちながら足を進める。
「総司なら、きっと優希当たりが伝えてくれるから心配ないよ。えっと、奥村・・・」
「あ、まさきです。雅貴。」
「雅貴ね。優希から同い年だって聞いてさ、俺も一緒だから。ちなみに総司もね。」
「あ、そうなんですか。」
「うん、だから敬語いらないよ。つっても、周りの目があるからいくらそう言っても結局平隊士は皆敬語なんだけどね。」
そういって、少し寂しそうに頬をかきながら笑う藤堂が、奥村にはやけに印象的だった。
「だから、二人の時くらいはやめてよね。」
奥村の顔を覗き込みながら問いかける藤堂を見て、奥村は初めて友達になれそうな人間を見つけた気がした。
この時代に生きる優希たちは、歳が近くてもどこか大人びていた。
自分のように、甘い人生を生きていないからかも知れない。
「あぁ、わかった。」
奥村の返事に、藤堂は嬉しそうに笑った。