尋常じゃないくらい煩い心臓が飛び出てきそうだ。


こんなんじゃ、煌くんと映画館に行った時と同じパターンに成り兼ねないな…。


滅多にないことなのに、自分のことでいっぱいいっぱいで、何があったか曖昧になっちゃう。



「宮下さん?」

「は…はい……」

「そんな離れたら濡れちゃうよ」


そう言って私の腕を引っ張った煌くん。


さっきよりもぐっと近づいた。


だっ!抱き寄せられたみたい!



「煌くんは私を殺したいの…?」

「えぇ?何いうの宮下さん。面白いね」


クスクス笑う煌くんに次こそ殺されると思った。


心臓がいくつあっても足りないよ。煌くんに恋をしている限り。




結局、煌くんを意識し過ぎでこの間と似たようなパターンになっちゃった。


でも、また煌くんと初めてを経験できてよかっと思う。



――恋は盲目。


恋とは時に危ないものです。




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