ふと目が合い、微笑まれて胸が高鳴った。


不意打ちだよ…それは。


赤くなりつつある頬と、にやけそうになる口元をセーターの袖で隠して、私も授業の支度をした。


チャイムが鳴ると同時に担当教科の先生画質入ってきて、皆が席に着く。



当たり前の日々を過ごしてきた時間。


同じ空間にいるだけで、見つめていられる距離にいるだけで

好きな人がいるだけで。

こんなにも幸せなことはないよ。



「出席とるぞー。有河ー…池田ー…」



―――隣の席。


近いようでそうでもない、このもどかしい距離。

でも、今は私だけが煌くんを感じていられる特別な距離。


三年生になるまでの残りの数ヶ月。


もっともっと、仲良くできるかな?

もっともっと、心の距離も縮めていけるかな?



「…っあ」


落とした消しゴムを拾おうすると、煌くんも一緒に上半身を倒した。


「「……………」」


中腰の状態で席に着いてるよりも至近距離でフッと微笑まれたら、どうしようもない。

胸がキュンキュンして、ドキドキして。

私の心臓は大忙し。


「はい。消しゴム」

「……ありがとう」


微妙に触れ合った手も、私のは直ぐに熱を帯びた。


些細なことが、私にはとても大きなことなの。