若干怒ったような声と扉が閉まる音が聞こえた。

けど私は振り向かない。



いや、振り向けない。







「英寿くん」


「なんや」


「龍、起きてくれへん」


「……………」


「うちのせいで、起きてくれへん」







涙が止まらない。

上手く喋れなくて、歯がゆい。







「何を情けない事言ってんねん」


「だっ、て」


「ほんで情けない顔」






もう一つパイプ椅子を取り出し、私の隣に腰掛ける。

英寿くんは私の顔を見るなり、少し笑って。



ポンポンと頭を撫でてくれた。






「雄大や他の連中は今食堂で飯食ってる」


「……………」


「紫織って子も蓮等と一緒に食ってるから」


「……………」


「今の内に泣いとけ」







瞬間、私は英寿くんに抱きついて。






思いっきり声を上げて、泣いた。











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