時間は流れ、いつの間にか空は真っ暗。

まだ雨も降っていて天気は悪いけど。



もう、いいかな?






「……………」






上半身を起こして、ベッドから降りる。

カラカラカラ、と点滴を持ったまま扉に手を掛けて病院を後にした。



うん、全然しんどくない。



改めて病院の凄さに感心しつつ、一つ一つ部屋を見て回る。

そしてある一つの病院の前で立ち止まり、扉を開けた。







「ー…龍」








部屋の中では規則正しい電子音。

頭には包帯が巻かれていて、痛々しい。



ベッドの隣にあるパイプ椅子に腰掛けて、龍の手を握った。







「龍」







名前を呼んでも反応がない。

いつもはキャンキャン吠えているくせに。





今はまるで人形みたい。









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