綾の髪を撫でていた手が
止まる。





不思議に思って顔を
上げて望の顔を見ると
少しだけ悲しそうな
顔をしていた。








「望...?」






「綾...1つ聞いてもいいかなぁ?」






頷くと望は
強く綾を抱きしめながら
耳元で囁く。






「綾さぁ...昔の男の事まだ忘れらんない?」






ビクッとして望の
顔を覗き込もうとする。






望は腕の力を緩めなかった。





静かに頷く。



「・・・ごめんね。」





その瞬間望がそっと
力を抜いた。





顔を上げて望をみると
望は穏やかな表情で
綾を見ていた。






「ずっとって訳じゃないよね...?」





頷くと望がもう一度
綾をしっかり抱きしめ
直した。






「・・・その男の事綾が
忘れるくらい綾の事大事にするから。...だからいつか俺の事一番にしてくれる?」




望の表情を見ることは
できないけど、、、
辛そうな声だった。






泣きそうになる。