部屋に戻ると、ドアの近くで立ったまま壁にもたれて腕を組んでいる雄平がいた。
「・・・ケンの夢か?」
「うん・・・」
「ねぇ-雄平。」
「ん?」
「私ね、裕也のことが好き。ケンのこと忘れた訳じゃないけど、裕也のことすごい好き。」
「...うん。」
「でも...怖い。ケンみたいに裕也がなっちゃう日がくるのかな?」
雄平の隣に立って呟く。
「翔貴がいる限り私は男を作っちゃダメってわかってたんだけどな...」
「それでも好きなんだろ。」
頷くと雄平が頭をポンポンと軽く叩く。
今なら聞ける。
「雄平、どうして翔貴は私にこだわるの?」
「・・・」
今まで聞いてはいけないことだった。
「辛いの。もう...」
ずるいってわかってる。
雄平は優しいからこんなこと言われたら困るってわかってる。
「お願い...教えて?」
雄平は黙ったまま片手で私の頭を引き寄せる。
「ごめん。」
「雄平っ。」
「言えない...わるい。」