「自分の男が思い通りにいかないからって、人の男なびかせてんじゃねぇよ。」
咲のとどめの一言で、
頭が真っ白になった。
咲の胸ぐらを掴み、殴りかかかろうとした時、
ふいに横から手が出てきた。
咲の胸ぐらをつかんでいる手を引っ込めさせられ、
その腕がかわりに咲の胸ぐらを掴んだ。
顔をあげれば、雄平だった。
「その言葉そのままてめぇに返す。くたばれ糞アマ」
そのまま咲の胸ぐらを突き放すように離し、莉子の腕をつかむ。
「ちょっ...雄平?」
そのまま階段下まで連れていかれる。
そこに、綾と孝がいた。
「よかった。孝がついててくれたんだ。」
ホッとして息をはく。
「確かめたんだな...」
「うん・・・」
雄平はそれ以上なにも聞かず、莉子を抱き締める。
・・・怖かった。すごく怖かった。
裕也のことを好きになりかけているのが、怖かった。