「あいつか...」


莉子の後ろ姿を眺めながらポツリと呟いた。


翔貴に気に入られている女


噂は聞いていた。この辺では、翔貴は大きな存在だ。


その元カノ、莉子。


今は付き合っていないらしいが、翔貴のお気に入りなのは一目でわかる。



俺と莉子が話しているときずっと翔貴はこっちを見ていた。


莉子の名前なんて、とっくの昔から知っていた。


ただ俺の存在を少しでも、あいつの...莉子の頭の中に焼き付けたかった。


「〜おいっ裕也っもう一杯いくぞぉ-!!!」

「望、お前これ以上は止めておけ。」


「なんのこれしきっ!!!
・・・ん?綾ちゃんは?」


「帰ったよ。お前もそろそろ目、覚ましてこいよ。」


望は何だかんだ言いながらも立ち上がり、輪から外れて行った。