そして、その最初の「火曜日」はやってきた。

どうでもいい、という気持ちはあるものの、やっぱり少しは緊張する。



「愛音~来たよー」

まだ5時になっていない時間、部屋で勉強していたら、母の声がきこえてきた。

「はーい」

一応、居間に迎えにいくと、母がニコニコしながらそこにいる男性と会話していた。

私は初めて、その男性に目をうつす。



「初めまして」



にっこり笑いながらそう言った彼は、けっこうな長身、決して太くはないけどしっかりと筋肉がついた身体に、短髪。

短パンとおしゃれな半袖Yシャツ、斜めがけのリュック。

そして何より,,,,,,



「黒い,,,,,,,」



そう、彼の肌は一瞬黒人かと勘違いしてしまうくらい、健康的に焼けていた。

あまりの黒さに、つい本音が出てしまい、

「あ、すいませんっあの…」

と焦る私に、

彼は一瞬目を丸くしつつも、すぐに笑い、

「大丈夫。よく言われるんで」

と言った。