「確かに瀬川は、入学当時からことあるごとに杉田さんにちょっかい出してた。つまり、瀬川は本当に杉田さんと話したかったんだと思う」
いつの間にか空が赤くなり始めた。
私達は赤く染まった太陽に向かって遠い通学路をひたすら歩く。
「私は…、一人になって初めて杉田さんの存在を知ったのかもしれない。それまで、空気と同じように思ってたところ、あると思う」
きっと、クラスの大半は私のこと、そう思っていると思う。
けど、いざそうやって口に出されると、やっぱり心が痛んだ。
「だから…、今までそんな風に杉田さんのこと見てきたことと、今日結果的に利用してしまったこと、ちゃんと謝りたかった」
「柚のこと、そんな風に見てたなんて、最低だね」
映美佳が真っ赤になった空に向かって、ポツリとつぶやいた。
「…映美佳?」
もしかして、馬場さんとケンカする気!?
…とか少し思ったけど、映美佳は私の顔を見て微笑んだ後、馬場さんに向かってこう言い始めた。
「私はずっと柚の友達だから、柚の味方するよ。柚のこと利用するヤツは許さない。…だけど、ちゃんと気付いて反省してるならいいや。それで?これからどうしたいわけ?」
すると、馬場さんはまた少し暗い顔をしてうつむいた。