「柚!!靴履き替えるだけなのに、何やってんの?」
私が悩んでいたら、既に靴を履き替えて外で待っていたらしい映美佳が待ち切れなくてうちのクラスの靴箱にまでやってきた。
「あ、映美佳、ごめん…」
「あれ?馬場さん??」
映美佳は私の隣に馬場さんがいることに気付いた。
すると、馬場さんも映美佳の存在に気付いた。
「え、えーっと、小谷さんだよね?小2の時、同じクラスだった…」
「そうそう!!覚えててくれたんだ?うれしい!」
馬場さんはまだ暗い顔だったけど、映美佳は明るさ全開の笑顔で馬場さんに話し掛けていた。
「どうしたの、一人で?…あ、そっか。Y小の子達とは帰る方向逆だもんね」
「うん。そーなんだ」
映美佳の笑顔で、馬場さんの表情が少しだけ柔らかくなった気がした。
「映美佳、あのさ、馬場さん、私と帰りたいって言ってたんだけど…。何か、話したい事があるって」
私が映美佳に話し掛けると、映美佳はニコッと私に笑いかけた。
「うん。いいんじゃない?私がいない方がいいかな?」
「え?」
少し困りながら馬場さんの顔を見ると、馬場さんはいつもよりは力がなかったけど笑顔を見せてくれた。
「ううん。小谷さんも一緒に帰ろー。小谷さんの意見も聞いてみたいから。…いいかなぁ?」
「うん、もちろん!」
映美佳は嬉しそうに馬場さんにうなずいた。
私も不思議な組み合わせではあったけど、3人以上で下校することは今までなかったから、少しドキドキしながら映美佳と馬場さんに微笑んだ。