「…あ、杉田さん」



「………馬場さん?」






既に靴を履き替えて、傘置き場に腰をもたれかけていた馬場さんは、さっき仲直りした友達とは別れたみたいで、一人きりで何故か少し暗い顔をしていた。





「あのー…、ちゃんと謝りたくて。音楽の時間の時、本当にごめん」



「え…、うん」





私も慌てて靴を下履きに履き替えて、馬場さんの隣に歩み寄った。





けど、その後何て続けたらいいのか分からなかった。








「あの…、仲直りできて良かったね」





何となく頭の中に浮かんだ言葉はこれだけだった。






そりゃあ、馬場さん達が仲間割れして、一人きりになるのが嫌だったから私が利用されたっていうのはあんまり気持ちいいことではないけど、仲直りは素直に嬉しいと思ったから。





けど、馬場さんの顔はさっきと同じ暗い顔のまま。







あれ…?



私、言ってはいけないこと、言ったのかな…?






「うん…。あのさ、杉田さんもM小だったら、家の方向一緒だよねぇ?一緒に帰れないかなー?ちょっと話したい事あって…」



「え?」





でも、今から映美佳と一緒に帰る予定だったんだけど……。





どうしよう?




でも深刻そうな顔してるし、断るのも……。