「ちょ…っ、何で笑うの!?」



「昔から仲良くない人に対しての柚の対応って、全然変わんないなあと思ってさ」





まだ『ぶくく…』と、笑いを抑えきれない映美佳を、私は軽く睨んだ。






「私だって、どうしたらいいのか分かんないんだよ…。でも映美佳は別のクラスの男子なのに、まるで昔から仲良かったかのように話してたじゃん。うらやましい…」




「まあこればっかりは性格だからね。でも無理に直すことないよ。柚はそれだけ友達を真剣に選んでるってことじゃない?私とかしょっちゅう八方美人だろって疑われるし」




「映美佳、本当に誰とでも仲良くしゃべれるもんね」



「そうよ。こんな人見知りで引っ込み思案な柚とも仲良くできるんだから。すごいでしょ、私」



「自分で言ったらダメだよ」







人見知りで引っ込み思案……。





自分でも確かにそう思うけど、他人に言われるとそれなりにくるんだよね。





映美佳も私に対して結構ハッキリと言ってくるタイプ。





けど、映美佳の言葉には嫌味が全然感じられない。





それに、こんな性格でも『友達を真剣に選んでる』とか、プラスに捉えてくれる。





だから映美佳だけは、この中学では唯一信じられる友達なんだ。










映美佳と話しながら靴箱の手前まで歩き、それぞれのクラスの靴箱で上履きと下履きを取りかえるために、一瞬だけ映美佳と別れた。






私が1年4組の靴箱の前まで来ると、そこにある女子の人影が見えた。