「やっぱり杉田さん、一発合格してるー!すごーい!!」
テストを終えて席に戻ると、そこには馬場さんが座っていた。
「さぁさぁ〜、合格者の杉田様♪私にリコーダー教えて下さいな♪」
馬場さんはニコニコしながら席を立ち、私の腕を引っ張って私を席に座らせた。
…っていうか、ここ、私の席なんだけど…。
すると、前の席に座っていた瀬川くんが、いきなりクルリとこっちに振り返ってきた。
音楽室でも、席の並びは教室と同じだから、私はやっぱり窓際の一番後ろで、瀬川くんはその前の席。
「杉田、もう合格したの!?はぇ〜。俺も混ぜてよ」
「えー!瀬川も混ざるの〜?瀬川覚え悪そうだから、別の人に教えてもらいなよ」
「何言ってんだよ、馬場。この俺の華麗な音楽センスを知らねえのかよ?」
「華麗な音楽センスあるなら、リコーダー忘れないでしょー」
私が口を挟む間もなく、瀬川くんは馬場さんと楽しそうに話し始めた。
馬場さん、瀬川くんとあまり話したことないはずなのに、すごく会話がスムーズなんだけど…。
「とりあえず馬場はいいや。俺、杉田に聞いてんだけど」
「何よ、『馬場はいいや』って。失礼なヤツ〜。で、杉田さん、コイツ仲間に入れちゃうわけ?」
いきなり二人の視線が私の顔に向かってきた。
「え…?」
どうするも何も、断れない……。