唇を噛み締めたナナは、涙をこらえているかのようにも見えた。 悔しそうに拳を握りしめながら大きく息を吸っている。 「お姉ちゃんはズルイよ!! 両方ともでさ!! どっちかにしろよ!!」 そう、近所中に聞こえる様な声で怒鳴りつけた後、ナナは二階へ上がっていった。 「……今日はありがと」 ナナの言葉を理解出来なかった俺は苛立ちながらも友里に一言残し、プレゼントを大事に抱えながら井上家を後にした。