他の女生徒と、一緒に……だが。

そちらに行こうとしたが、思いとどまり其れを止めた。
行ったところで、話をする訳でも無いし、彼女が自分のことを覚えて居ない方が確率的には高い。
ただ、本を取っただけなのだから。

再び、イスに座るとティースは小さくため息をつき、持ってきていた本に目を通す。
但し、時折彼女のことを目で追いながら…。




暫く、目で追いかけていると一緒に入ってきた女生徒とは別れ、彼女は一人になった。そして、本棚の奥へと行ってしまった。
目で追っても…奥は見えない。
少し考え…立ち上がると先程目を通していた本を手に、彼女の行った奥の方へと小走りした。


彼女の姿が見えなくなった辺りに行くが、彼女の姿は無かった。
学院の図書室とはいえ、世界中の本が保管されていて数としてはかなりの冊数になるため、かなり広い。
一度見失えば、なかなか見つける事が出来ないのは確かだった。
それでも、もう一度ほんの少しでも姿を見たくて、ティースは彼女の姿を探す。
淡い期待を抱いて……。