「…あの…、違う学部の方なんですが…」

そう言うティースの言葉が途中で止まる。
そして、視線が自分ではなく誰が別の者を追って居ることにジークは気付き、そちらに自分も視線を向けた。
そして、その視線の先に居たのは…

(…まさか、あの彼女、か?)

驚きを隠せずジークは思わずティースに声をあげた。

「お、おい!まさか…彼女が…!?」

突然の事だったため、思った以上に声が大きかったのか、一瞬にして騒然としていた食堂が静かになり、視線が二人に向く。

「ジーク…」

「あ、す、すまない。何でもない。」

ジークは周りに向かってそう言うと、暫く静かではあったが、再び食堂内は先程の様にざわめき始める。
そして、一つ呼吸をおき、ジークは小声で再び話し始めた。

「念のために聞くが…。…まさか、さっきの女じゃ、無いよな…?」

「…その…まさか、です。」

友人の言葉にジークは大きくため息をつく。

(相手が、悪すぎる…)