だから、初めて笑いかけられた時に、彼女が『特別』になったのかも知れない。そんな事すら思えてくる。

「何で笑うの?」

「いえ…すみません。初めてそんなこと言われましたから…
皆、私を『特別』に見ますからね…。友人以外は。」

言うと、足音がした。そして、部屋の前で足音が止まり、ガチャリという音と共に少し年輩の女性が入ってきた。

「あら、どうしたの?二人とも。」

「あ、足を捻ったから診て貰おうと思いまして…」

ティースが立ち上がり、言うと女性は彼が何者か気付いた様で、一遍に態度が変化する。

「まぁ…ティース様が…けがを?」

「いえ…私ではなく彼女が…申し訳ないんですがお願い出来ますか?」

そう言う彼の表情を見て、フレイアは違和感を感じた。

先程自分と話をしていた時とは、雰囲気が異なったために。
でも、先程の彼の言葉の意味に納得もした。
『皆が特別扱い』する事に。