一息、ため息をつくと、ティースは普通に話をしだす。人間の言葉で。

「そんなに、意外でしたか?」

未だに少し目を逸らしたまま言う彼に、フレイアは思わず笑ってしまう。

(案外、可愛い。)

「いいえ。
案外、人の噂は当てにならないと思ってただけ。
そっか。あなたが、そうなんだ。」

「…私のこと…知っていたんですか?」

「名前は有名よ。『アウル家』の事もあるし。
女の子は皆、あなたを見かけたとか、話しをしたとか。そんな話しばっかり。」

「…。」

「頭が良くて、綺麗だから。」

チクリ。

その言葉がティースの胸に刺さる。

『綺麗』

いつも、初対面の者に言われるが、好きな言葉ではない。
人ではなく、物の様に扱われている気がしてならなかった為に。