「ティースです。」

名前を聞き、少女は少し眉をひそめる。

(ティース?聞いたこと有る気がするけど…)

内心、そう呟きつつも特に深く考えず言葉を続ける。

「いつも、あそこに居るの?前も、図書館で会ったけど…」

「……まぁ…色々…調べたいことも…有りまして……。」

少女に聞かれ、ティースは言葉を濁した。
まさか、彼女に会いたいが為、あれから毎日のように通っていたとも言えない為に。
そんな想いは全く知らないこの少女はティースの言葉に

「そうなんだ。」

と、素直に納得する。
もう少し、話をしたいかも。
そう思ったが…

「あぁ、着きましたよ。」

そう言うティースの言葉に顔を上げると、確かにそうだった。
だが、ノックをしたが、声どころか音すらも聞こえてこない。

「…誰も居ないんでしょうか?」

そう呟きながら、部屋のノブを回す。


ガチャリ


どうやら、鍵は開いている様で…鍵を閉め忘れたか、すぐに戻るつもりで閉めていないのか。
それは、解らなかったが開いていることは確かだった。