「はい…そう……ですね。」

自分でも変な答えだ…そう思いながら、彼女に手を差し伸べた。
出来る限り、自然にしているかの様に装いつつ。
内心、五月蠅い位に心臓の音が彼女に聞こえないかどうか、心配しながら。
だが、彼女は至って普通に

「大丈夫です、一人で立てますから…」

そう言うと、立ち上がろうとした。が…

「痛っ…」

左足首に痛みが走り、それは叶わなかった。

「見せてください。」

ティースは慌ててしゃがみ込み、彼女のその足に手を伸ばした。
少女は驚き、手を払いのける。

「触らないで!」

思わず大きな声が出てしまい、少女は口元を手で押さえる。
広いとは云え、静かな館内。
周りに居た人々は、こちらを見ている。
ただでさえ、他人とは違うから余計に注目されるというのに…思わず大声を発してしまった事に、少女は後悔した。