「あ、そういえば…。いやどうでもいいか。」



 
「いいから言えよ。実際にあったことなら何でもいい。」
 


「そうかぁ?ん――何か一年の椎名って女子が生活委員長に立候補して、そのまま通ったらしいぜ」



 
「はあ?まだ五月だぞ。選挙もあってないだろ。どうやったらなれるんだよ。」
 


もっともな質問だった。しかし、長谷部は力なく首を振る。
 



「知らない。てかさ、なんでよりによって生活委員なんだろ。自殺行為だよな、ウチの学校じゃ。聞いた話によるとその子、『模範少女』って呼ばれるくらいのド真面目なんだと。」




「なんでそんな奴がウチの学校にいるんだ…?」
 


「オレもそう思った。だいたいさぁ、ここに来る奴って中学時代すさんでた輩ばっかじゃん?ま、オレもだけど。ってことは多分あれだよ、中学時代にヤっちまったのが学校にバレたとか…。」
 


本気なのか冗談なのか、長谷部はにやけ笑いをした。