「よお、ザキ。珍しいじゃん。学校に来たの何週間ぶりだよ。」



背後から陽気な声が聞こえた。



八崎が振り返ると、そこには茶髪の男子生徒が立っていた。数少ない八崎の準友人である、クラスメイトの長谷部雄介だ。


「さあ。かなりブランクあったから覚えてない。」
 

「……ほんっとお前は学校来ないな。留年しちまうぞ。今のペースだとさ。」
 

「大丈夫だ。そのあたりは細かく計算してある。」
 

「そうですかそうですか。ザキ君は計算高いね――。」
 

明らかに信じていないが、八崎はそのまま無視した。
 


「俺のいない間に変わったことはあったか?」
 


「特に何もなかったと思うけど。あっ、でもちょっと待てよ…。」
 


長谷部は顎に手を当てると、遠くを見て考えだした。



その間、八崎は道具を出し終わった鞄をロッカーに置きに行く。



そして戻ってくると、長谷部がポンと手を打った。