そして、数分後。




「……。」
 



八崎は眉間にしわを寄せた。



すべての紙に目を通したものの、これといってピンとくる人物はいなかった。



そして、例の彼女の紙を見直す。




いよいよ本格的に考えなくてはいけなくなった。



 
「さ――あ、どうする…。交渉まではいかなくても、一応話だけはしてみるか?まあ色々聞いてみたいこともあるしな。『例の事件』について…。」
 


そう考えると、少しだけ気が楽になった。
 


「……ん。」
 


印刷された最後の紙に、村井の追伸が載っていた。短いが、かなり大事な内容だ。
 



「〝P・S この紙に書かれた個人情報は、絶対に口外しないでね。警視庁から漏れたなんて分かったら、お払い箱どころじゃないから!〟」
 



無論、八崎は守る気など皆無だった。