いきづまった八崎は紙の束をテーブルに置くと、ズボンのポケットから携帯電話を取り出した。




そして登録してある電話番号の中から『及川梓』の番号を選択する。





 プルルルルル、プルルルルルッ。




数秒待ったが、なかなか相手は出ない。



ロケ中だろうかと八崎は思った。



そして呼び出し中のまま、何の気なしに紙の束に目を移す。



書いてある文字をぼやっと読んでいた時だった。
 


(……っ!嘘だろっ?)




 一番上にあった紙に載っていた人物を見たときだった。



驚きで、八崎は絶句した。



いや、しかし、そんなまさか。
 



――――プルルルル、プチッ。