徳山先生の重苦しい世界史の授業が終わり、先生が出ていった瞬間に真司が文句を口にする。
「アイツほんっと性格悪い」
そんな彼に味方する女子生徒は少ない。
なにしろ徳山先生は本当に人気があるのだ。
「徳山先生はクールでかっこいいもんね、あんたと違って」
と、クラスメイトの女の子に言われて真司は膨れっ面をしていた。
私はさっきの授業での自分を反省してしまった。
いくらなんでも話を聞いていないのは良くなかったな、と。
それにしても徳山先生の授業は怖い。
みんな面白いほど私語をつつしみ、世界史の勉強に励む。
穏やかに授業をする芦屋先生とは、言うなれば正反対のような感じだ。