━━━━━翌日。
世界史の授業で徳山先生が私のクラスにやってきた。
昨日のことを瞬時に思い出す。
思わず菊ちゃんの方を見ると、菊ちゃんも私を見ていた。
そしてお互いにニヤついてしまった。
徳山先生は相変わらず笑顔ひとつなくクラスの出席をとり、授業に入る。
昨日見たはずの、愛しそうに彼女に笑顔を向ける徳山先生は、ここにはどこにもいなかった。
先生の本当の姿は、どっちなの?
じっと徳山先生を見ていたら、ふと先生が私に視線を送ってきた。
え?
私の心の声、まさか聞こえてしまったの?
ハッとして息を飲んでいると、刺すような徳山先生の視線とともに
「吉澤さん、聞いてますか。今質問したんですが」
という冷静な声が聞こえた。