「徳山先生がいるの!」


菊ちゃんがそう言ったのと同時に私の目にも徳山先生が飛び込んできた。


この間とは違って今度はちゃんと先生の顔がハッキリ見えた。
そしてさらに驚いた。


徳山先生が笑っていた。


あの、クールでちょっと近寄りがたいと思っていた徳山先生が笑っていた。


そして彼の隣にいたのは髪の長い女の子。


おそらく以前見かけた彼女と同じ人だろう。


その彼女の横顔も見えた。
とても綺麗な人だった。


「お似合いだね……」


つぶやいた私の言葉に、隣で菊ちゃんも「私もそう思ってた!」と飛び跳ねた。


「徳山先生ってあんな顔で笑うんだね」


「学校でも笑えばいいのに」


笑っている顔の方が私は好きだと思った。


仏頂面で授業を進める徳山先生のあの姿は、本当の姿じゃないのかな?
彼女の前で見せるあの笑顔が本当なのかな。


幸せそうな2人の姿を見ながら、そんなことを思った。