それから先生は、私に色んな話をしてくれた。


私がずっと気になっていた、先生の気持ちの変化についてだった。


先生が私の気持ちに気づいたのは、


「彼女はいますか?」
「好きな人はいますか?」


という質問をされた時から。


そしてその時に「気になっている人がいる」と答えたのは、自分でも私に対する感情がよく分からないまま答えてしまったということ。


私と距離を置かなければならないと思って、冷たくしようと思ったのに出来なかったこと。


たまたま美術の時間に真司と一緒にいる姿を見て、戸惑ったこと。


描きかけの風景画を完成させてあげたいと思った時から、好きなんだと思ったこと。


すべて聞かせてくれた。


先生はいつもみんなに同じように接しているからこそ、どんな風に見ていてくれたのか分からなかったけれど、ちゃんと教えてくれて安心した。