やがて、見覚えのある住宅地へ着いた。
私の家のすぐそばだ。
あぁ、もう芦屋先生と2人の時間も終わりなんだ。
まさか3回も先生の車に乗せてもらえるなんて思ってなかったな。
先生がハザードランプをつけて車を停車させる。
私は足元に置いていたカバンを持つと、
「送っていただいてありがとうございました」
と頭を下げて車を降りようと助手席のドアに手をかけた。
「吉澤さん」
先生が私の名前を呼んだ。
まさか呼び止められるとは思ってなかったので、私はびっくりして振り返った。
「ちょっと聞きたいことがある」
「聞きたいこと?」
先生が私に聞きたいことなんて、一体なんなんだろう?と浮かせようとした体を再び助手席のシートに沈める。