そのうち、人が倒れているということで少しずつ近隣の住民たちが集まってきて、騒然としてしまった。
先生2人がこんな騒ぎになってしまったことを住民たちに謝罪しているうちに、警察が到着した。
澪の元彼の男の人は、ただ単に気を失っていただけのようで、警察官に叩き起こされたら意識を取り戻した。
そのまま彼は連行されていき、私たちは高校生ということもあり時間も遅いので、明日改めて警察署に事情を話しに行くことになった。
もう今日は部活でも疲れていたし、そこからさらに追い打ちをかけるようなことがあったため、精神的にも疲れていた。
「私たちは一緒に帰るけど、萩は?」
澪が私にそう尋ねてきたので、
「私は電車で帰るよ。あと少し歩けば駅だから」
と答えた。
ところが後ろから芦屋先生が「いや」と割り込んできた。
「吉澤さん、送るから。いったん学校に戻ろう」
「えっ、でも……」
嬉しい。
でもなんとなく恥ずかしい。
そんな気がして断りそうになったけれど、せっかくなのでお願いすることにした。