しばらくして私たちの元へ到着したのは、警察ではなく、徳山先生と澪だった。
澪はすでに泣いていた。
「萩〜!」
と、私を見るなり抱きついてきた。
「ごめんね、怖い思いさせて」
「う、ううん!大丈夫だよ!」
私はとにかく澪を安心させなくてはと出来る限り明るく返した。
徳山先生は芦屋先生に
「警察は呼びましたから」
と声をかけていた。
「救急車も……呼んだ方がいいですか?」
道端に倒れる澪の元彼を見下ろした徳山先生は、彼の腫れ上がった頬を見て笑いそうになっていた。
「これは……芦屋先生が殴ったとか?」
「いえ、これで」
芦屋先生はさっき私が渡した野球ボールを徳山先生に見せていた。