明日から冬休みということで、今日は午前中で学校が終わった。
あとはそれぞれ帰宅したり、部活へ行ったりする。
私は弓道部の練習へ参加し、グランドの走り込みをしたあと弓道場で筋トレをおこなった。
弓を持って練習するのは2ヶ月のブランクのせいでまだ早いと自己判断し、最近はほとんどこのメニューばかりしていた。
いつもは3時間程度の練習だけれど、今日は午後からみっちり6時間。
なかなか体力的にもきつかったし、終わった頃にはクタクタに疲れていた。
「萩、お疲れ様」
練習を終えて制服に着替える私に、すでに帰る準備を整えた菊ちゃんが声をかけてきた。
「もう親が待ってるみたいだから、先に帰るね」
「うん、お疲れ様。また来週部活でね」
「うん、来週」
菊ちゃんは私との短い会話のあと、更衣室を出ていこうとした。
が、途中で引き返してきた。
「真司にでも一緒に帰るように声かけておく?」
「もう!菊ちゃん!」
また朝と同じことを言おうとしていると察して、私は菊ちゃんに向かってわざと怒っているように顔をしかめた。
菊ちゃんは明るく笑って「冗談だよ」と舌を出し
「とにかく気をつけて帰るんだよ」
と手を振った。