誰かと、と言ってもいつも一緒に帰っている菊ちゃんには用事がある。
「徳山先生、私は1人でも大丈夫です。私のことよりも、澪のことが1番心配だから、よろしくお願いします」
「でも吉澤さん」
徳山先生はまだ言い足りないらしく何かを言いかけたけれど、そのタイミングで予鈴のチャイムが学校に響いた。
「じゃあ、予鈴鳴っちゃったので」
遅刻になっては困る、と私はすぐさま徳山先生に会釈して急いで校舎へ向かった。
最後に見た徳山先生の、本当に心配そうにしてくれている顔を思い出して、ありがたいなぁなんて思ったりした。