澪が1人にならなければ現れないだろうと思っていたのに、いつまで経っても1人で帰らなくて痺れを切らしたのか。


私も急いで走る速度を速めた。


暗くなった道を3つの息づかいが交錯する。


誰かに助けを求めようにも、この時間帯はあまり人が歩いていない。


遠回りになっても人通りのある道を選べばよかったと後悔した。


拓人という男の人の息づかいと足音がどんどん近づいてくる。


追いつかれてきていると感じた私は、無我夢中で持っていたお弁当が入った手提げバッグを後ろに投げた。


お弁当の中身が無いためバッグは軽いものの、宙を舞って男の人の肩に命中した。