私だって澪が困っているなら協力したい。
一緒に帰ることで彼女が安心するなら。
「分かりました。私でよければ……」
承諾した私の言葉で、徳山先生は目の前で見たことのない優しい笑顔になった。
「ありがとう、吉澤さん」
この笑顔をいつも澪には見せているのだと思うとドキドキしてしまった。
先生は澪のことになるととても人間らしい表情になるんだな。
話を終えて、資料室で必要な書類を持っていくという徳山先生を残し、私は資料室を出た。
今度はそこで芦屋先生と出くわしてしまった。
芦屋先生は突然資料室から出てきた私に驚いた様子で、怪訝そうに首をかしげていた。
「資料室で何してたの?」
「い、いえ、なにも……」
私はなるべく挙動不審にならないようつとめ、その場しのぎの作り笑いをした。