いや、1人でいることに決して飽きたことなんかない。退屈をしのごうと思えば勉強とか読書とかすれば良いだけのことだから。
しかし今は何故か飽きを感じているような感じだった。何故か。

「あ、爽ちゃんって漫画好き?」

彼にはこれまでたくさんの漫画を貸してきているから決して読まない訳ではない。私が読んでいれば読みたそうな顔をしながら『次貸してください』だからね。しかも少女漫画です全て。

「真夜が読んでいる漫画は好きですよ?」

そんなことを言いながら、早速テーブルの上に乗せたままでいる私の漫画を読み始める爽ちゃん。勿論少女漫画だ。

「何故か知りませんが、真夜が読んでいる漫画だけは楽しく読めます。」
「そ、そう…」

私の読む漫画『だけ』って一体どういうことだ。
そうツッコミたかったけれど、何故か照れてしまって何も言えずに固まってしまった。
漫画から爽ちゃんは目を離すと、私の顔を見てクスクスと笑い出す。

「この漫画借りても良いですか?」

『朝には返します』と言った爽ちゃんは、私の返答だなんてお構いなしに勝手に漫画を持って部屋へと戻ってしまったけれども。まぁいつも良いよって言っていればそういう行動を起こすようになるよね、うん。

(今度少年漫画も買っておこう…)

きっと爽ちゃんは驚いてくれるだろう。1冊も持っていなかった上貸したことなんてないのだから。
しかし私は少年漫画に詳しくはない。その筋で詳しそうな人間って大体男子が大半だろう。
となるとこのことに関して相談する相手っていうのは…

(栗井くん…か。)

複雑なことをしてくれた彼しかいない。
い、一応小倉さんにも聞いてみよう!もしかしたら意外と詳しいかもしれないし…

「頑張ろう…!」

そして、気合が入ったところで私は部屋へと戻ることにしたのだった。