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今日はいろんなことがあった。
『臼田くん』ではなくて昔のように『爽ちゃん』と呼べるようになれたことが自分でも特に衝撃的だ。どうして父さんに促された時に嫌がったのか、今となってはよく分からない。
夕飯は父さんの指示で出前を頼み、そして美味しくそれを頂くとすぐに爽ちゃんはご部屋へとこもってしまって。リビングに私はただ1人取り残される。
特にすることもない。お風呂にも入ったから後は眠るだけだ。父さんは仕事が残っているらしくまだ学校にいるし…

(それにしても…)

私は自分の頬に手を触れると、そのまま上下に優しくそれを撫でる。

「栗井くん…」

初めて男の子に頬にキスをされた。
感触は柔らかかった。思い出すだけで私の顔には熱が込み上がってきてしまい、何故だか照れてしまう。
してきた相手がもし爽ちゃんだったら?そう想像するだけで口から心臓が飛び出してきそうだ。

「クリームくんがどうかしましたか?」
「!?」

私が1人で悶えていると、後ろから爽ちゃんの声が聞こえてきて。私は我に返って、自分に忘れろと言い聞かせるかの様に首を横に振った。

「な、何でもないよ!」

いやぁ…危なかった。爽ちゃんは栗井くんのことが嫌いだから、あまり彼の名前は口にしてはならないような気がするんだよね…

「それよりどうかしたの?」

後ろに振り返って爽ちゃんを見上げながら、私はここにやって来た理由を彼に尋ねてみる。
この家に来てから爽ちゃんは、1度部屋に行ってしまうとそれから全く出て来なくなるっていうことが結構あったからな…気になったんだ。

「部屋にいるのが飽きたのでこちらに来ました。」
「そ、そっか…」

飽きるほど何をしていたのかは不明だけれど、来てくれたことはちょっぴり嬉しかったりする。
私も1人に飽きていたから。