クリームさんはやっぱり危ない人のような気がしてならない。
根は良い人だ。しっかりとしていて嫌な事は嫌とはっきりと言える。
しかし真夜に向ける目というのが…何故だか不快。理由は本当に分からない。

「僕も欲しかったです。」

明日学校の帰りに真夜の分も一緒に買おうか。2人で並んで仲良く飴を舐めるんだ。
…って、今はそんなことはどうでも良い。

「…さっきはすみません。」

僕は真夜に謝りに来たのだ。酷いことをしてしまったから。

「実はおじさんと一緒におじいさんに会いに行ったんです。」
「え…」

僕の言葉を聞いた真夜は、目を点にさせて驚いていた。
先ほどまでの態度とは正反対だ…

「お話が出来ました。あの日に起きたこと。」

あの日というのは一週間前の彼らが呆けてしまった日のことだ。

「やっぱり僕のせいでした…」

僕の母親のように何も言わずに消えてしまったせいで、彼らはパニックを起こしたらしい。家を捜しても、近所を捜しても、愛娘の息子がいなくて…

「僕が…彼らを壊しました…」

申し訳ないことを起こしてしまった。

「真夜の帰りを断ったのは彼らに…おばあさんには会えませんでしたが、会いに行って謝りたくて。早く行って顔を見たくて…すみません。」

泣きそうになって涙を堪えて、言葉が出てこなくて真夜に謝る今の自分がどうしようもなく情けない。
顔を伏せて制服を引っ張りながら、自分がふるふると震えて弱っている今の自分の姿を見せられるのは、彼女しか僕にはいない。

「…臼田くん、」

真夜は僕の震えている手を握って、首を振り、

「じゃなくて…爽ちゃん。」

僕のことを、名前の方ではっきりと呼んだ。